カブスカウトの行事の一つにパインウッドダービーという催しがある。昨夜、今年度のパックの競技会が開かれた。

これは 手のひらサイズのウッドブロックを削ってレースカーを作り、これを傾斜をつけたレーストラックにのせて競争するというものだ。 ウッドブロックと車輪、車軸は供給される。 木片を削り、車輪をサンドペーパーで磨き、車軸も念入りに磨いて、さらに錘を載せて制限重量をぎりぎりまで持っていくのが早いレースカーを作るポイント。 車輪のマーキングがわからなくなるまで削ってはいけません。ベアリングなどは使用禁止、車軸間の距離などとかなり細かい規定が設けられている。

子供と親が共同で作ることになっているのだが、2年前はほとんど親が作った。子供はデカールを貼っただけ。 近所を見回すと医者と弁護士だらけの住宅街なので、こういうものでエンジニアが弁護士に負けるわけにはいかんとかなりの気合が入った。

結果はパック優勝。 地区大会でも準優勝。 戦い終わってみると、こんな遊びでも結構あつくなり、負けると悔し涙にくれている子がいる。  あまり親があつくなってもしょうがないと反省した。

去年は適当に作ったつもりだった(子供は色塗りとブロック削りを少しやった。)が、またパック優勝してしまい、 地区大会では4位。

今年は息子が「過去2回ストレートで勝ったから今年はビリにならなければいい」と言い出した。 よって、ますます適当に作り 子供が車軸磨きまで担当したら、結果は5位。

息子の仲良しが優勝し、自分のことのように喜んでいる。 「少しは悔しくないの?」と聞いたら「ぜーんぜん」という返事。 こんなに闘争心がなくてよいのだろうか。「ヒートで2回1位になったから良いのだよ」という。第3ヒートで車が何かにあたってジャンプしてしまい、コースからはずれかかって3位になったのが敗因だ。これでトーナメントで良いポジションが取れなくなってしまった。

「だんだん悔しくなってきた」と女房が言う。「ねえエンジニアの作った車が医者の作ったレースカーに負けて良いの?」という。

だからそれは言うなって。あれはコーストラックに異常があったのだ。そうだそうだと父と子で口をそろえた。

本田Americaの従業員が起こしていた訴訟で、会社側が従業員一人あたり750ドルの和解金を払うことで結着したそうだ。

起訴の内容は作業着に着替える時間を残業として認めろというもの。

平均時間は7分弱。

日本だったら考えられない話だ。 と 思っているのだが、今浦島の自分には本当のことはわからない。 

趣味は将棋!

と、気分が高揚したところで、書いておいてしまおう。 長いよ。

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趣味は将棋!

中学の頃から将棋に興味を持った。 当時は歩を順番に突き出して行き、左右対称の形を愛でる、という程度の実力だったが、日ごろの本好きから清野静男7段の定跡本を購入した。これに書いてあった棒銀を使ったら友達に勝つようになったと記憶している。

 高校に入ってからは将棋同好会に入った。 指し将棋ばかりやっていた。 同好会の部長がたまに詰め将棋を作っては出していたがあまり興味は持たなかった。 修学旅行の時に京都の本屋で加藤治朗八段の「将棋 歩の道場」という小さな棋書を買った。 これを読んで相当強くなったような気がする。小遣いから捻出して購読していた近代将棋の級位認定に応募したら4級だった。

山田道美八段の「近代将棋の急所」という書籍を購読したのもこのころ。 将棋に対する真面目な態度に感化され、「将棋道」みたいなものがあるのだと友達に話をしたりした。この本にはツノ銀中飛車対策に右四間プラス左美濃が載っており、これが後日プロの対局にそのまま現れ、本を読んでいた居飛車側がそのとおりに指して勝った。 それ以来自分の4間飛車・中飛車対策は右四間だ。

高校生の将棋選手権も一度出た事があり、「矢倉は指すな、相手に振らせろ」という部長の言いつけを守ったせいか、北海道地区の準決勝まで進出。自分に準決勝で勝った相手が北海道地区で優勝して全国大会に行った。 当時は指しかけでも時間がくると立会いのプロの先生が形勢判断をして勝ち負けを宣言していた。 自分たちの所にきたら難しい形勢、判定をしないで次に行ってしまった。 他の試合の判定をすべてすませた後にまた戻ってきて五十嵐八段自ら秒読みをしてくれた。 その結果 負けた。

と書くと、いかにも強そうだがそうではない。 まず、自分に勝った余市出身の何某君も全国大会の1回戦で敗退している。 今はどうか知らないが、当時は、団体戦に実力者が出て、個人戦は団体戦のメンバーに加われなかった生徒しか参加していなかったのだ。

大学に入ってからはクラブが無かったこともあり、遠ざかっていた。 一度下宿の仲間が「俺、将棋今日も勝った。もしかして初段くらいあるのかも」といっていたので試しに対局してみたらあっというまに粉砕できた。初段なんて冗談言うなという感じだった。 2,3度挑戦してきたが自分に歯が立たないのは明らかだった。これで仲間内で指す将棋のレベルなら自分も強いほうなんだということがわかった。 でも、池袋の将棋道場に一度だけ行ったことがあり、そこでは4級で勝ったり負けたりのいい勝負だったので、4級の認定というのは結構正確だったようだ。 つまり、仲間内で強いというのは棋力としては4,5級というのが一般的ということだ。

その後も自称初段にはわりと勝率が良い。

大学時代はフォークソングがはやっていて、ギターに夢中になったので、将棋はたまに指す程度だった。 ここでもう少し励んでいれば有段者になれたかも知れないと今になって思うが、他の”楽しい”事への誘惑が多すぎた。

会社にはいってからも職場の仲間とたまに指す程度で、それ以上のことはしなかった。

27歳のときに米国デトロイトへ転勤となった。 これで将棋を指す機会は完璧になくなってしまった。 

10年くらいたってから、取引先のAさんが将棋をやるので一緒に指しましょうということになった。 わざわざ自分のアパートまで将棋板と駒を持って現れた。 指してみると、自分と実力が逼迫しており、久しぶりに本気になった。 現在までの勝率は自分のほうが多分5割を割っていると思うが、Aさんも5割を割っているはずだという。 つまり好敵手に恵まれたわけだ。これが多分1988年ころ。

近代将棋をニューヨーク旭屋書店を通して購読し始めた。先崎とか村山が新人として注目を集め始めていたころ。

デトロイトの日本食料品店に「将棋をやりませんか」と広告を出した。 同好の士が4人ほどあつまり、日曜日ごとに集まっていたが、そのうち自分がバージニアに転勤になり、他の人たちも皆日本に帰ってしまい、自然消滅となった。 

バージニアで結婚、 近代将棋の購読を止めた。 これが1991年

80年後半あたりからDOS/Vというパソコン用のOSが現れ、これで米国製のPCでも日本語ソフトが走るようになった。 日本に一時帰国するついでに柿ノ木将棋とかASCII将棋とかのソフトを購入していたが、 まだまだ弱かった。(勝つことができた。)

状況が変わったのは1999年の暮れに帰国したときにAI将棋2000というWindows用の将棋ソフトを購入してからだった。 購入時で対局できるレベル5(実は勝つことによって、レベル7まで開く)では勝てない!レベル4で勝ったり負けたりという状況に、これで真剣に将棋ができる、と単純に嬉しくなった。 

2002年の夏に家族旅行をした際、シカゴのみつわマーケット(旧ヤオハン)に立ち寄り、子供にヒカルの碁という漫画の単行本を買い与えた。 その中にネット囲碁の話が出てくる。読んでいて、ふと思いついた。 ネット囲碁があるのだからネット将棋もあるのではないか? そこで、ネット将棋で検索してみると、自分の不明をあざ笑うかのようにいくつものネット将棋サイトが存在していた。 その中でも将棋24というのが無料で参加者も多く、プレーヤーも百花繚乱の賑わいだ。実は24では8級レベルを相手に戦っても勝つのに骨が折れる。アドレナリンを全開にしないと勝てない。 しかし9級レベルだと序盤で少しくらい分が悪くなっても逆転することができる。このあたりが自分の実力のスレッショールドか。ともあれ自分と同程度、そしてそれ以上の実力を持つアマチュアプレーヤーが実は雲霞のごとくいるという現実を強烈に味わった。

日本将棋連盟、 将棋タウンなど、WEB上の貴重なリソースにめぐり合えたのもこの頃で、俄然将棋熱が再燃した。

2002年の秋に2つの目標を立てた。

1. 毎日新聞のWEB検定に応募して二段の免状資格を得る。

2. 将棋24で5級を目指す。

以前の将棋への取り組みと大幅に変化したことがひとつある。 それは詰め将棋を解く様になったということだ。 高校時代に買って、最初の2問を解いただけになっていた内藤国雄の詰め将棋200題という問題集に取り組み始めた。 同時にネット上の詰め将棋を片っ端から解き始めた。 これはやはり指し将棋の機会が少ないので、その代わりに始めたというところが大きい。 やってみて、パズル的な面白さに目覚めたとも言えそうだ。 詰め将棋は必ず答えがある。 

解ける問題については誤回答をするということはきわめて少ない。 解けるか降参するかの二つに一つだ。  ちなみに将棋タウンで毎週出題されている 3手詰み、5手詰みはほとんど見た瞬間に解けている。 実戦の詰め将棋については制限時間内では6割程度、制限時間なしでは正解率98パーセントくらいか。

毎日WEBのほうは1年くらいトライを続けたら三段の認定をもらった。 どうしようかと思ったが女房が薦めてくれて(曰く、頭がぼけてからでは取得できなくなる云々)

免状を申請した。 その後五段の認定ももらったが、これはさすがに遠慮した。 理由は二つ。

1. それだけの実力が無い。ペーパー五段が24で8級というのはさすがに憚る。10回連続応募だが、問題の難易度にぶれがあり、チャンス的に五段認定達成という状況が成立する。これでは実力の伴わない五段が沢山輩出するのではないか、と他人事ながら心配だ。

2. 免状を申請するのに17万円かかる。

最近はコンピューターソフトとの対戦ばかりしている。24でのレーティング戦は、 女房や子供に邪魔されないまとまった時間をとることがなかなかできず、やらなくなってしまった。

  1. 2002年12月 AI将棋2000のレベル5突破。 レベル6開く
  2. 2003年6月 A氏が再び米国着任。 激指し2を貸してくれた。 2級レベルで勝ったり負けたり。 指し手がAI将棋に比べて非常に早い。 感激した。
  3. 2003年10月 東大将棋6を入手。棋力認定所で三段認定。でも四段認定問題が1問もできない。
  4. 2004年 4月 激指し3を入手。 初段、二段レベルでいい勝負
  5. 2004年 4月 久しぶりにAI将棋2000に挑戦したらレベル7が開いた!
  6. 2004年 5月 激指し3の四段上手、自分の下手で角落ちが勝てるようになる。(最初は3連敗)

すこしは実力が伴ってきたと思いたいところだが、激指しでできるレーティング戦であれよあれよというまに8級まで下がったことがある。 負けがこみ始めると考えないで指すという癖があるらしい。そして激指しは良く王手飛車がかかる形に誘導してくれる。 この熱くなると考えなくなり、生来の筋悪にもどるという問題を直さない限り(でもこれが自分の正体か)24での5級達成は難しいだろう。

 北海道将棋連盟

北海道将棋連盟のHP上にある日誌をみていたら、今年昇段とプロ入りが決まった廣瀬章人四段の父親が札幌西高出身だというような話が書いてあった。 自分も西高出身なので、他人事とも思えず連盟にメイルを送ったら即答で新井田基信氏本人から最近の西高の将棋・囲碁の状況などを知らせてくれて大いに恐縮。

とてもなつかしい。

ネット将棋ではソフト指しがはやっているそうだ。

ソフト指し: あたかも自分が指しているように見せかけながら、実は将棋ソフトに着手を考えさせ、自らは操り人形となってソフトの指し手の通りにゲームを進める事。

ソフトに指させて勝って何がうれしいのかさっぱり判らないが、実より名をとる輩が多いと言うことかしら。それでレーティングが上がったといっても自分の実力との乖離が激しくなるのであれば心の中は決して穏やかではないでしょうに。大体ネット将棋から一歩も外に出られなくなりますな。(藤原の佐為みたいな) リアルの将棋大会には出られなくなる。

ただ、逆に自分が負けるから相手がソフトを使っているのだろうと思われるのも困る。 終盤で詰め将棋のような筋を見つけて詰め上げたら相手から「ソフトを使っていますね。」と言われるのは癪だ。 中盤のどうでもよいようなところでも2,30秒考えて指していたらそれだけで「ソフト指しだ!」と決め付けられたりするともうなにをかいわんやだ。 人には人の指し方というものがあります。ソフトのような指し方をするなといわれても困る。 そんないやみを言わずにいられなくなるほどくやしくなるようならネット指しするな。 と、ここまではソフト指しの疑惑でいつも相手を犯罪者扱いで見ることしかできなくなってしまった将棋愛好家に言いたい。私みたいに定跡には明るく、中盤がとてつもなくヘボで、歩のたたきを多用し、終盤の詰みを見つけるのが割りと早い人はみんなソフトを使っていると疑われる世の中では困ります。これが私の棋風だよ。(棋風を変えろっていわれてもなあ) ソフトを持っててもそれをネット将棋に利用しようなんてこれっぽっちも考えない人のほうが世の中多いと思いますよ。 

でもどうしてソフト指しが横行しているとわかるのだろう。 だれかデータをとったのだろうか。

  • レーティング戦でのソフト指しは実は大勢にあまり影響がない。

なんだかんだと小ざかしい事を考える以前に精進して自分が将棋ソフトよりも強くなってしまえば問題はないわけだがこれこそエベレストに登頂するくらい難しいという悲しい現実がある。 自分は劇指し3の最強レベルに飛車落ちの下手を持って勝てないのだ。  平手では30秒将棋になると3段レベルに勝てない。 二段レベルでもぼろぼろ切れ負ける。(女房子供が寝ているのでスピーカーを切ってやっているという事情もある。)

ん、待てよ、ということは自分のレベルでは通常のレーティング戦ではソフトの最強モードを使うソフト指しにあたる可能性はないということじゃんか。なあんだ。 

わざと弱いレベルに設定したソフト指しってのもあるのかな。 でも自分と同レベルの強さに設定されたソフトと指すのっても別にどうということない気がする。コンピューターに使われた操り人形が指していると思えばいい訳だ。

自分よりも弱いレベルに設定されたソフト指しには全然問題ありませんね。

  • レーティング戦ではなく、大会にソフト指しが使われたらどうする。

ソフト指しする人がいる以上賞金がかかったような大会はネット将棋では不可能だというところまで議論が発展すると、ネット将棋の将来のためにあまり良いことではありません。

どんなに対策を考えようとも鉄の意志があれば何でもハックできてしまうのがソフトウエアを使ったづるの恐ろしいところですが、これにはかなりの努力と才能が必要です。敷居を高くしてしまえば100パーセントとは言わずともかなりの防止はできるはず。 例えば有段者以上の実力のある将棋ソフト(数えるのに両手の指は必要ない筈)に以下の機能を実装してもらえば多分ソフト指しの9割5部は減らすことができます。

  • 1.IPストリームを監視してネット将棋のサイトと交信している場合には起動不可能とする : 副作用=ネット将棋を観戦しながらのソフトによる検討が不可能になります。

1の対応は同じコンピューターで、ネット将棋と将棋ソフトを同時に走らせた場合のみ有効で、じゃあわざわざ2台のパソコンを用意してソフト指しをする場合はどうなんだと言われると、

  • 2. ソフトが切れ負けるようにする。ネット将棋のルールを例えば15分指し、以後30秒以内と決めておきます。 時間切れで秒読みに突入した場合、29秒で指すように調整しておけば15分将棋なら60手以内でソフト指し側は秒読みに突入します。29秒後に出てくる差し手を見て入力していては切れ負けになるでしょう。 :副作用=指し手の早いソフトが優秀なソフトという認識からすると開発者は実装したくないだろうな。それに検討モードの実装ができなくなりそう。昼休みの短い時間にソフトと対戦することもできなくなるぞ。 レベル設定で強いレベルのときだけに有効としておけば級位者には影響がでないな。 級位者のネット指しは目をつぶりましょう。あたった人は強いソフトと指せたと喜ぶことにしましょう。

こんなことをしても誰かがハックを考えてインターネットで流せばまたもやいたちごっこになってしまいますが、そこまでしてでもソフト指しを続けたい人には努力を認めて許してあげましょう。(おい)

  • 3. 大きな賞金のかかった大会は地区ごとに場所を決めて(公民館でも借りて)ネット環境を用意し 第3者が立会いできるような環境でやるという手もあります。 

副作用:家で手軽にというネット将棋の長所が生かされなくなります。

  • 4. 高次の大会では匿名性を排除。 本人の本名を白日の下にさらしてしまえばピアプレッシャを感じてソフト指しなどできないのでは?

われながら結論の出ない論議になってしまった。