ハリーポッター完結篇

2週間ほど前に発売し、大型書店には山積みになっていた。 一応子供は予約しておいたらしく、40%引きのスティッカーの張ってある、とっても分厚い本を引き取ってきた。  3日で読破(息子のほうです。)父親は最後の20ページをつまみ読み。

夏休みということで、子供に日本文の感想文を書かせようとしたのだが、これが大変。

「この本ではたくさんの人たちが死にました。」

ではじまり、

(以下、ハリポタのファンは読まないほうがよいかも。 名前は全部伏字にしますが、もしかしたら推測できてしまう)

「○○と○○たちは ホルクラックスを探しにでかけます。 ホルクラックスは○○のかけらです。 途中で○○は別れますがまた一緒になります。 ○○と○○は○○につかまりますが○○が助けにきます。だけど○○は死んでしまいました。○○と○○は結婚しますがすぐ死んでしまいました。○○も死ぬ。○○も途中で死ぬ。○○は良い人になって死にます。 ○○と○○が最後の一騎打ちをします。そして○○が死にます。」

「お前だれそれが死ぬとした書けないのかえ?」

「もっといるんだけど」

「だからそれ以外のことはかけないのかえ?」

「最初のお話ではぜんぜん駄目な生徒だった○○はすごく立派になってすごいと思いました。」

「で、感想としてはどうなのよ。」

「とりあえず面白かったです。」

ワープロで書かせたのでこれから添削するつもり。

Silent Auction

最近は教育関係に落ちてくる連邦予算がどんどん削られて、その結果, 先生や親が教育資金を工面する図式が出来上がりつつある最近の米国であるが、 我が学区も例外ではなく、 PTO (Parents and Teachers Organization) などがあの手この手の資金繰り、 その中で 数年前からSilent Auction という形式での活動を始めた。 小学校最後の思い出に、とNASAのスペースキャンプに行く修学旅行のようなイベントがあるが、その準備金の足しにと学校関係者、父兄、地元の商店、レストランなどに協力を仰いで商品を供出してもらい、それをせりにかける、という形でのFund Raising.

大きなところでは コロラドVailの別荘滞在1週間、とか 小型飛行機の2時間の体験飛行、などの豪華版から、 カレッジフットボールやアイスホッケーのチケット、 さらにはクラスの皆で作ったお楽しみバスケット、だとか 校長先生との会食!、なんてのも出品される。まさにピンからキリまで。 これを学校の体育館に展示して、値段をつけてもらうわけだ。日本人の奥さんで、家庭に出張してちらし寿司作ります、なんてのもあった  われわれ夫婦も何か協力しょうという話になって、 女房は子供向けのヨガ教室。 で、自分は… と考えたが何も思いつかん。  プレッシャかけられて 思わず 「将棋でも教えようか」 といってしまった。

米国国民というのは巨大なアマチュア集団であって、 ちょっとワザを覚えるとすぐにクラスで教えたり、クラフトフェアで自分のものを売り出したりする。 我々もそのあたりがわかってきたので、わりと簡単にコミットしてしまうのだ。

Ann Arborという街はミシガン大学の本拠地であることもあり、チェスなどの知的遊戯は結構さかんだ。 週末にはダウンタウンのカフェで同好の士が集まって囲碁を打っていたりする。

さすがに将棋を指している人はいないが、 チェスのバリアントということで興味を持つ人がいないとも限らない。 で、女房も「いいかもねえ」 と賛同してくれて、そのまま申込書に”Shogi (Japanese Chess) 1 hour introduction”と書いた。 「1時間だとまわり将棋をやって終わりだね。」と息子。 前に息子の友達が家に来て、将棋盤を見て興味を持ったときには最終的に将棋くずしで終わったな、そういえば。

もう少し説明をつけたほうがいいかなあと思っていたが、当方も多忙な身、判らなかったら聞いてくるだろうと、ほおっておいたら、そのうち出展物のリストが届いた。 見るとちゃんと将棋の説明がついている。 主催者がWikipediaか何かで調べてくれたらしい。

実は「売れるといいな」という気持ちと「誰も買いませんように」という気持ちが半々で、オークション当日を迎えたのだが、

会場に行ってみたら、子供達の書いてくれた説明用のポスターの絵がチェスになっていた。 しまった。やっぱりちゃんと説明しておけばよかった。

サイレントオークションなので、買手は一点一点品物を見ながら、気に入ったものがあれば、商品に添付された用紙に自分に割り当てられた登録番号と払いたい金額を書いて行く。 次に見た人が値段を吊り上げてその下に書き足して行く、という仕組みで値段が上がって行く。

女房のほうはすぐに買い手が付いた。 しかも順調に値段が上がって行く。

将棋のほうは、と見ると、誰も買手がついていない。  やったぜ、と気が楽になり、(おい) 校庭に出て子供達が遊んだりウオーターロケットを飛ばしたりするのを眺めていた。

女房が出てきて「思った以上に値段があがっちゃったよ。どうしよう。」 知らなーい。

外で知人達と話をしているうちに締め切り時間となり、 片付けはじめたようなので、会場に戻ってみた。 用紙がまだだしっぱなしだったので、 「すごいなあ、こんなに出してもらうんならちゃんと教えなきゃあなあ」

「うーんプレッシャー」などと話をし、

「将棋はどうなった、」「あそこ、ほら、白紙でしょ。」「なんか書いてあるよ。」「えっ?」

$10ドルで売れてました。

ミシガンのminimum Wage (最低保障賃金)は時給約7ドルなので、まあなんというか。

息子のほうは「僕はアシスタントをやってあげるよ。」といっているが、 飛車と銀を交換して「持ち駒が増えたー」と喜んでるレベルだし。

どうせ売れるんだったら、もう少し値段がつり上がらなかったか、と思ってしまう。 もしかして、ナルトの漫画で将棋の場面のコマをどこかから探してきて、気の聞いたキャッチフレーズでもつけたポスターにしておけば、もっと高めに売れたかもしれない。 こういうことはいつも後で思いつく。 反省

 Vocalise

というわけで、Joshua Bellに触発された息子はリサイタルで黒シャツを着てがんばって弾いた。 小学校の先生まで招待したのだ。 良かったよ、とほめられ、10点満点中9点のでき! と自分でもまんざらではなさそうだったが、 最後に 1歳年上の女の子がツィゴイネルワイゼンをものすごいいきおいで弾いたら、他のパーフォーマンスはあっというまにかすんでしまった。  

すっげー、格がちがう。 もっともあちらは一日の練習量4時間。 こちらは20分。 くらべるのが無理です。

 帰る車の中、 「お前、何年くらいであれを弾けるようになるかねえ。」 と言ったら、 一言。

「んー、 むねん」

日本語を教えといてよかった。

バイオリンのJoshua Bellが近くのホールでコンサートを開いたので親子3人で見に行った。  色々弾いた曲の中にVocaliseという、今、息子が練習している曲があった。 終わった瞬間の拍手の中で、 「何であんなにうまく弾けるんだー、僕悔しいよー」と言ったので、女房と(本気かこいつ)と顔を見合わせた。

コンサートが終わったあと、地下のロビーに出てきてサインをしてくれている、というので、早速CDを買い求め、列に並んだ。

写真で見ると、なかなかハンサムボーイという感じだが、実際に見ると英語で喋らナイトのパックンに感じがにていないでもない。  2時間の独演の後で疲れた感じだが共演のピアニストと一緒に、せっせとサインをし、ファンと談笑している

息子の番になって、CDにサインをしてもらったところで、 

「あの、僕 今 Vocaliseを練習しているんです。」

「あ、そうなんだ。」

「なんか、ポイントとかアドバイスしてもらえることありますか?」

「うーん、そうねえ、 ダイナミックスかな。 ちゃんと楽譜を読んでアクセントに気をつけるとか、 難しいなあ、 自分をうまく表現する事だよね。 皆違うんだから。」

「あー、ありがとうございました。」

「がんばれよ。」 

と握手をしてもらい、 ついでに二人並んで写真も撮らせてもらった。 

翌日、息子が練習しているのを聞くとも無く聞いていたら

音が良くなっている。

個人レッスン3回分くらいの効果があったみたいだ。

映画づいてる

土曜日の夜に家族全員で「硫黄島からの手紙」を見に行った。

ほとんど日本人の俳優が出てきて日本語で語られる Made in USAの戦争映画というのはなんとも奇妙なものである。 台詞の中で、日本兵なら「ライフル」とか「ジープ」などとは言わないような気がするが、そんなことはどうでもいい。 とても重い映画であったが2時間半はあっという間だった。 R指定の映画を息子に見せたのは「Last Samurai」についで二本目だが、今回の映画のほうが内容的に衝撃があったようだ。  日本語でわからないところは英語の字幕で理解する、というような見方をしていたらしいのだが、 「なぜ日本の兵隊は自殺(自決)するのか。」 という質問に後で答えなければならなかった。

クリントイーストウッド自体はすごく保守的な人だと思っているのだが、偏見に偏らず、こういう映画を作れるのは立派だと思った。  捕虜を射殺するところなど、イラク紛争への風刺があるのかな、と思った。 76歳、やるね。

Japanese Style

U/Mの主催するベースボールキャンプというのがあって、 昔3Aにいた監督が自分のネットワークを使って、U/Mの選手以外にもプロの選手とかコーチに手伝ってもらい、 8歳から16歳までの子供たちを指導する。 午前中はピッチングで午後は打撃。 ビデオにフォームを撮影しておいて、指導してくれるというなかなか本格的なクリニック。 息子も2日間ほど参加したのだが、 午後の打撃練習のときに、レッドソックスから来ていたコーチに「君の投球フォームを見ていたけど、振りかぶったところでいったん止まる(Pause)ね。 あれはJapanese style ね。」 と言われたそうだ。 本人いわく「夏休みに日本にいたとき高校野球をたくさん見たのでいつのまにかそうなった。」そうな。 門前の小僧、経を習う。

性教育

我が家の女房、面白がって、「セックスってどういうもんだと思ってる?」 と聞いた。

「友達が言うにはあ」って、10歳とか11歳のboysが話していることだが 「Hunkering]

両親二人ともこの単語がわからない。 こうやってね、と体を上下に揺さぶり 荒い息遣いで「ハー,ハー」

両親二人ともひっくりこけた。 

「でも、それだけじゃないような気がすんだよね。」

「あと2年くらいしたら教えてあげる。」 と父親は逃げたのであった。

 トップ1%

その、子供を車で迎えに行ったが、相手の家から出てきて開口一番「マンションだったよ。」ま、3台入る車庫や、大きな家構えをみて、半端じゃないとは思っていたが。

「地下にビリヤードの台があった。」 安くても20万円だな。

「アーケードマシンが一台おいてあった。」Hammacher Schlemmer あたりでときどき売リ出す30万円くらいのやつだな。

「普通のX-BoxとX-Box360があった。」 そうかそうか

「部屋に1台づつ大きなテレビがおいてあった。」そうかそうか

「ムービーシアターみたいな部屋もひとつあった。 The Pacifier をみんなで見た。」 100万円はくだらないな。

エアホッケーの台も置いてあったよ、電気がびらびらついて点数の出るやつ」 

ふーん。

「部屋がたくさンあって、ごちゃごちゃしてないの」我が家は足の踏み場もないからのう。

「庭でフットボールをして遊んだ。」10人でフットボールをしても大丈夫な広さの庭なのだ。

「良い経験をしたな。 アメリカでも、あんな大きな家に住んで、そんなに色々そろえられるのは100人に一人もいないよ。 Mのお父さんは確かお医者さんだったよねえ。 パパみたいなエンジニアだとそんな生活はまず無理だろうなあ。」

「判ってるよ、僕、やっぱり歯医者になるよ。」

血を見るのがいやだから医者じゃなくて歯医者だそうだが、こっちも結構血を見ると思うがなあ。

 国際チーム

子供が参加していた屋外のサッカーリーグが昨日で終了した。

去年までは仲間同士のチームだったのだが、 技量のレベルがばらばらで、 息子のほうは時々チームメートのプレーにかなりフラストレーションがたまっているのが見えていた。  「日本人補習校のサッカーチームを連れてきたら全勝優勝しちゃうよ。」などと過激な発言もしていた。

オーガナイザーも同じ事を感じたようで、今年の夏はトライアウトがあり、 それぞれの子供たちを技量レベルによって振り分け、息子はデトロイト地域のトラベリングリーグに参加するチームに振り分けられた。前のチームからは息子を含めて3名が選ばれたが、初練習のあと、「このチームは、自分がパスしようとするところに誰かがいてくれる。」と喜んでいた。

ところが、最初の2試合は3対0とか4対0で負け。 「こんな遠くまで運転してきてこの体たらく。 もう辞めさせる。」と今度は女房が怒った。 個人プレーが多く、チームプレーがあまりうまくできていない子が多かった。

3戦目は0対0の引き分けに終わった。 このとき息子が始めてデフェンスポジションをやり、 コーチが「デフェンスがうまいなあ。」と驚いた。それまでは体が小さい息子は、ゲームスタートはいつも控えだったのだが、 それからは最初から最後までミッドデフェンスで出っ放しのパターンになった。 コーチの指導が実ったか、チームの連携もよくなり、 どんどん勝ちだした。 

8人制のサッカーでチームが11人しかいないので、頻繁に交代させても攻撃陣は結構きつそうだがこのチーム、実は7カ国の子供たちで出来上がったチームなのだ。 子供たちは皆英語でコミュニケーションしているが、親たちは自国語で応援するので、 フィールドでは、英語、フランス語、ポルトガル語、スペイン語、中国語、日本語にスロバキア語が乱れ飛ぶ。 

昨日の試合はタイガーズ・カーディナルズの第2戦が始まる2時間前にみぞれ交じりの雨の中、泥だらけのフィールドで行われた。 相手はお金持ちの住むブルームフィールドのチームだけあって、雨天用のジャージから帽子から、皆そろっている。 我がチームのおそろいはシャツとショーツだけで、寒いので、皆ぴょンぴょン飛んで自己発熱している。 時間的には7割がた、相手側がボールを持っていたが 終わってみれば許したゴールはPKの1点だけ、こちらは3点もぎ取り、優秀の美を飾ったのだった。 ゴールボックスのもみ合いとかで、皆滑ったり転んだりしていたので、全員泥だらけ。

「冬の室内サッカーでまた会おうなあ!」 と再開を約して皆、帰途についたのだった。