やねうらおうの定跡ファイルをサイトに使ってみた

ずーっと海外に住んでいて、将棋を指す相手がいなく、ヒカルの碁でネット碁の存在を知り、 こんなものがあるんだ、と検索して、Kurnickというゲームサイトを見つけ、そこでネット将棋を始めてみたら、みんな結構無茶苦茶な指し方をするのにびっくりして、英語の将棋入門サイトを作成したのが、今から17年くらい前、最初は静止画像をべたべたはりつけ、ブログに毛が生えたようなサイトだったが、フラッシュアプリを使った将棋盤というのが世の中にあるのがわかり、これを使って詰将棋やら最初の数手の説明、定跡の説明なんかをしていた。
割と早い段階で、フラッシュが駆逐されそうだということに気が付き、JavaScriptを勉強してフラッシュ無しでも動く将棋盤を自前で作成して自分のサイトで使い始めた。これがもうかれこれ12年以上前。これが幸いしてFlashが完全終息 した際のインパクトは避けることができた。

当時はそれなりに海外の将棋入門者の役にたったのではと思っているのだがそのうちYouTubeにHidetchさんが英語の将棋入門チャンネルを開き、さらに81道場を開設するにいたって、これは時代が変わったと悟った。 今ではほかのリソース、例えばYoutubeに上がる将棋の動画などもさらに充実し、DiscordではカロリーナのShogi Harborなど。 加えて自分もそろそろ終活を考慮しはじめるべき歳なのでこのサイト、もう閉じようかと思ったりするのだが、Statsを見るとまだ世界中からぼちぼちロボットではなく人間のアクセスがある。のでなんとなく続けている。 それにページを更新するごとにPHPの新しい使い方とかTypeScriptの勉強にもなるので、頭の老化防止にもつながっているような気がする。→どちらかというとこれが現在一番のモチベーションになっている。

最近何気にWikipediaの将棋の項目(英語版)を観たら外部リンクのリストの最初に自分のサイトが載っていて驚いた。ますます閉じにくくなった。

このサイトの中で何度か書き直しているページの中に、初めの数手の内容をまとめようとしたページがある。 最初はYamajunさんのサイトにある棋譜にリンクしていた。  しかしながら他のサイトへのリンクというのは実にあてにならないもので、 このリンクを含むリンク先の大部分が2019年時点で消失していた。 2009年当時Webの90%を占めていたFlash Player base のサイトが ほぼ全滅したのが大きいと思われる。
ならば自前でつくろうと考え、やり直しを重ねたこのページ。 一応形にはなったが、これは掘り下げていけばいくほど、もっと広げていきたい衝動に駆られる。

最近 やねうらお さんのGithubでやねうら王に使われている定跡の4年前のレベルのものが公開されているのに気が付いた。 自由にお使いくださいと書いてある。前にNHKの将棋講座の特集でだれかが将棋ソフトの作者さんたちは気前が良すぎるんですと言っていたが、まったくだ。  定跡フォーマットを見るとSFEN + move(s)の繰り返しのテキストファイルだ。 幸いSFENの読み込みと書き出し機能は自作のWeb用将棋盤表示アプリにすでに実装ずみなので、このファイルをそのまま使わせてもらってWebで定跡表示ができるのではないかと思いついた。

遠い昔 やねうらお さんというハンドルネームの方の、将棋界の内情を色々批評していたブログを見ていたようなきがするのだが、同一人物かどうかはさだかではない。 ただ、今や将棋プログラム界のドンとでもいえるような大活躍をされているようである。 5歳のときにTK‐80を使って8080のニーモニックを覚えたと書いているのを見ると、多分 自分より20歳くらい若い働き盛りなのでありましょう。自分がTK-80に触ったのはまだ日本にいたころ、取引先の業者がNECの代理店をやっていて、「遊んでみて」と持ってきたのが最初だ。モニターのルーチンを使ってスクロール表示をくるくる回しただけで満足して 終わったような気がする。

ともあれ、定跡ファイルをばらしてMySqlデータベースに落とし込んでみた。Pythonを覚える良い機会と思ったがコマンドラインでもPHPが使えることを思い出し、コードもあっさりかけてしまったので、Pythonの学習はまたもやお預けだ。(ファイルサイズが87メガバイトの大定跡ファイルは、MySQLに落とし込むのにPHPをコマンドラインで実行させて4~5時間ほどかかった。 専用サーバーではなく、他の業務と兼用なので、こんなものなのかもしれない)

局面数指し手数
やねうら王定跡(2016)130,182155,443
やねうら王大定跡(2016)428,2442,433,672
やねうら王テラショック【WCSC29】285,463512,860
各定跡ファイルの持つ局面数と指し手数

Web ServerにSFEN文字列を送るとと候補手のアレィをリスポンスとして返してくれるようなAPIを作成し、ページを追加してみた

我ながら GUI デザインのセンスが無いなあと思うのは毎度のことだが、 面白いなとおもったのは最初の定跡(説明によるとFloodGateで収集した棋譜を24手まで統計的にまとめたもの)の初手の頻度が人間の指す初手の頻度とほぼ一致していた点。2016年当時ということもあるのだろうが、ソフトというのは、もっと自由な手を指すのかと思っていた。この統計頻度の高い指し手を選び続けて行くと先手左美濃対後手四間飛車になる。 こういう風に指すんですねえ。
一方局面評価をしまくって精選したという100Tera Shock定跡なるデータファイルのほうでは評価値が高い指し手を選び続けると横歩取りに誘導される。

大定跡は一番充実しているはずなのだが、評価値の高い指し手を選んでいってもはやばやと定跡から外れるケースが多い。 原因は Mysqlへの落とし込みに失敗しているか、最初から定跡ファイルがそういう作りになっているかのどちらかだがよくわからない。ただ、下の表に示したように、初期局面1にたいし、二番目の(一手目)局面が14種類、三番目の局面(2手目)が56種類 と多くなっていくものの局面数が、指数関数的には広がっていないので結構枝をはらっているのはわかる。でも第一候補の次の指し手が無いというのはなんかおかしい。 暇ができたら見直してみます。

11
214
356
4135
5323
6678
71289
81922
92714
103623
114812
125995
137181
148407
159741
1611136
1712492
1814160
1915731
2017425
2118979
2220500
2321883
2423224
2524374
2625479
2726567
2827704
2928792
3029952
3131001
3231954

これだけの局面数と指し手を評価して枝をはらっていくというのは相当にリソースと時間が必要になると思うのだけど、それをgithub上にポンと公開してくれているのは 大丈夫ですか、と思ってしまう。恩恵にあずかっているわけですが。

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