今日現在、WP34SのプロジェクトサイトからダウンロードできるZIPファイルに格納されているファームウエア、およびマニュアルはバージョン2.1である。 バージョン情報はX.FCN からVERSコマンドを選ぶと見ることができるが、”34S 2.1, 1630″ と表示されるはずだ。
この時点からも開発は滞りなく続いてでおり、/develop ページを見るとわかるが今のバージョンは2.2だ。Buildは本日の時点で1747まで進んでいる。
大きく変わったのはマトリクス機能が追加されたこと。 自分としては実質1行表示の計算機でいまさらマトリクス計算を試みるとは思えないが、「持っているという満足感」だけのためにアップグレードしてみることにする(おい)
フォーラムからの情報によれば、現在のエリックさんのオーバーレイシールのキー設定が使える最後のbuild は1722だそうだ。 それ以後はSwap keyのシフト設定が異なってしまっているとのこと。 そこんとこはどうせ使っていません、と割り切って最新のファームウエアにアップデートしてしまうのも手だが、今回はとりあえず1722 build へのアップデートに挑戦してみた。
開発コードはプロジェクトサイトのSVNデポジトリで管理されており、ここから当該バージョンのCalc.binをダウンロードしてくることになる。
Sourceforge のプロジェクトページ から/Develop ページに移動し、SVN Browse code のリンクをクリックする。 まずは /doc フォルダーから 2.2のマニュアルをダウンロードしておく。このマニュアルには「HEX、OCTなどの整数モードから実数モードに戻るためのキー操作」が1ページ目にかいてある。(確かに自分もわからなかった[苦笑])
次にTrunk フォルダー―>Realbuildフォルダーに移動し、”Calc.bin”をクリックすると バージョンのリストが現れるので1722を選んでダウンロード。 このフォルダーにはユーザーライブラリーのファイルも置いてあり、Join.cmd でCalc.binと合体させることができるようであるが、 buildを見ると1726しか登録されていないため、今回は見送ることにした。
(追記:フォーラムの議論によれば、バージョン2.2の最終リリースではキー設定を現状のオーバーレイに戻す方向である、という。 バージョン3からマトリクス関数専用キーなど、キー設定の変更を行う、との事。 )
前回はAtmel のSam-BAというフラッシュツールを使ったが、最近WP34SプロジェクトのほうでMysamBAというWindows用の簡易ツールを用意してくれた。これはWindows7でも使える、ということで今回はこちらを使用してみる。 プロジェクトのトップページからFilesタブを選び、FlashToolのフォルダーの中にあるMySamBA.zipをダウンロードし、解凍するとExeファイルが現れる。実行してみるとわかるが、フラッシュ用の機能にしぼってあり、操作が非常に簡単。
なお、Windows7 の64bitでも実行できたが、アドミニストレーター権限で実行しないと、Com ポートの選択ができない。

Com-portを選び、アップロードするファイルを選択したのちDownloadボタンを押すだけの簡単操作
ケーブルセットとRS232コンバーターは前回と同じものを使用。
なお、一度WP34Sにフラッシュしてしまうと、計算機だけの操作でフラッシュを受け入れる状態に持っていくことができる。接続ケーブルのerase ボタンを使う必要がない。
On key + D key でデバッグモードにし(=インジケータが点灯する)、この状態で On + S
キーを押す。 ONを押しっぱなしにしておいて、Sキーは2度押す必要がある。 これでフラッシュ用のビットが立ち、計算機はオフし、死んだふり状態となる。(この操作はケーブルを持っていない人は絶対やってはいけません。復帰が不可能になります)
あとはケーブルを接続し、MysamBAでフラッシュするだけ。
Download ボタンを押す前にケーブルのリセットボタンを押し、そのあとONを押すのはSam-Ba と同様
自分の環境では24秒で完了

Pauli とWalter という二人の開発者の名前が見える。だからhpではなくWPなのだ
ところでこの計算機の今後の予定だが、いくつかのキー設定の変更がフォーラムで議論されている。 現在エリックさんが売っているシートは使えなくなるわけだが、彼は1~2ドルで頒布するパッチキットを考えていると発言している。 このシートはビニール地に印刷し、その上から摩耗防止用のクリアコートをかけてあり、デジタル印刷なので版を用意しているわけではなく、 (費用がかかったはずの)打ち抜きの型はそのまま使えるので売るほうとしてもそんなに深刻に受け取っていないようだ。
ユーザーとしてはベータファームを承知で使ったわけだし、最初から張りなおしても一枚5~6ドルなので目くじらをたてるほどでもない。
フォーラムの議論の中で面白いとおもったのは ”||”キーの扱い。 これは”/”キーのgシフトに割り当てられているのだが、抵抗の並列に接続した場合の抵抗値の計算に使う。電気技術者しかつかわないのだから、もっと汎用度のある機能を割り当てるべきだという意見が散々でているのだが、変更されていない。 確かにやっていることは <<1/x swap 1/x + 1/x>> というたわいのない計算で必要な個人がラベルA~Dのどれかに割り当てれば済むという議論ももっともなのだが、もしかしたら開発者も電気系の出身か?
ところで、自分は20bを改造したのだが、まだ20bも30bを持っておらず、WP34Sを作ってみたいという人は30bを使うのがお勧めだ。 とにかくキークリックのタッチが全くちがう。フェースプレートもインモールドデコレーションが使われてすっきりした仕上げになっている。 ちなみにamazon.comで値段をみると30ドル以下で買える。なので、全部米国で調達した場合、
ケーブルセット6ドル(ジーンさんの手間賃:ケーブルはHPからの無料頒布:ちなみに海外郵送は10ドル)
オーバーレイシール 10ドル(失敗した場合の事を考えて2枚購入:世界中どこでもこの値段だそうです)
RS232/usb 変換ケーブル $24 (FTDI チップを内蔵したもの)
30B $33 (amazon seller の最安値)
合計 : $73 = 約6000円
これがWP34Sを所有するためのコストということになる。