実は去年の4月中旬から7月中旬までレイオフされていた。会社によってはFurloughといったりするが、要は一時解雇。 給料は出ない。保険も一部カバーされなくなる。その代わり、と言っちゃなんだが 失業保険をもらえる’権利’が生ずる。 現在の米国の失業保険は週に360ドルだが、 Covid-19が猛威を振るい始めた段階で、4月から7月にかけては一時的に週に600ドルの特別手当がつくようになった。 なので、週にもらえる手当が960ドルだ。月に換算すると4,114ドル、日本円に換算すると約43万円。自分の場合はすでに子供は自立し、家の支払いも終わっているから、これだけ支給されれば生活にはこまらなかったが、 色々と考えることがあった。
1)退職の時期。 自分は日本にいたらすでに退職の年齢に達している。アメリカの場合は退職のタイミングは自分で決めるので、年金を受け取らないことによるペナルティが発生する71歳ぎりぎりまで働くことは可能なのだ。 とは言ってもそこまで働くつもりはあまりなく、 今開発中の製品が生産に移った時点で辞めようと考えていたのだが、 今回仕事をせずに過ごしてみて、少し考えが変わった。 色々習い事をしたり、趣味に時間が取れるのはうれしいのだが、なんともいえないすかすか感が漂う。 まだ引退するには早いかなあ、と思ってしまったのは事実。
2)自分の働く会社は一時キャッシュフローが全くの0になってしまったので、従業員の数を25%くらいにまで落とした。 2か月ほどで50パーセントまで戻したが自分はその勘定に入っていない。職種を考えると当たり前なのだが、給料がもらえないということより、自分が必要とされていないという疎外感のほうが精神的にきつかった。
というわけで退職後の生活を本当にどうすれば気持ちの健康を保てるのか、ということを考える良い機会になった。
ありがたいことに米国人の上司が自分の年季はあと一年くらいしかないということを知りながら、呼び戻してくれた。
最終的に呼び戻されたのは全従業員の2/3で、 残りは解雇。 それから3か月たったが仕事の流れに支障がないといえばウソになる。自動車業界というのは恐ろしいところで、2か月間生産がストップしたため市場在庫が底をつき、これを埋める形で生産の量はほぼ通常に戻ってしまったどころか、あちこちで部品の欠品が発生し、今や生産を維持するために毎日が火消し状態。単純に考えても仕事の量が50パーセント増えたのに、これだ。 えらいことである、
と 書いたのが1年前、 そのころは2021年の夏も過ぎればこの状況収まっているのだろうと思っていたのだがこれがとんでもない誤算。
まずコロナ騒ぎがおさまっていない。アメリカにしてもワクチンの接種率が頭打ちになってしまった。ワクチンに不安を持った層を共和党が煽った結果だが、アメリカという国民は科学や合理性を信じていない輩が半分ちかくいる、これが簡単に騙される、ということを改めて痛感した。 FaceBook/Twitter/youtube などにあふれているFake Newsにいとも簡単に乗せられている。これらのSNSは似たような記事をお勧めに載せるようにできているので、嘘でもどんどん信じるようにできているようだ。
それはともかく。
部品欠品の状況が一向に収まらない。これはアジアの生産拠点などが順繰りにコロナで閉鎖されたりすることによってSupply Chainが滞ってしまっていることが原因だが、それにより、各自動車メーカーが減産を余技なくされている。
自動車は何千点の部品で構成されているので一つでも欠品すると自動車として完成しないのだ。 困ったことに、全体的に減産しているので余っている部品は在庫がふくらみ、業者にとっては踏んだり蹴ったりである。