React というのは DOMの内容を簡単に操作しようという JavaScriptのライブラリーの一つだが、Shadow DOMという概念を導入し、JQueryのようにコマンドごとの実行でDOMを書き換えることはせず、Shadow DOMにある程度書き込んでおいてから描画する直前にまとめてDOMに書き込む。なので軽快に動作する、というのが売り。
数年前に覚えようとしたのだが、 二点腑に落ちないところがあって、結局、Vue.jsという他のLibraryを愛用(溺愛)するに至った。
その二点というのが
1.JSXという新しい概念の導入。 一見するとHTMLなのだがHTMLではなく、XML書式をJavaScriptで理解できるようにしたプリプロセッサ。この一見HTMLというのがくせもので、class= はJSの予約用語ゆえに使えずclassName=にしなければならないなど、細かいところで違っていて気持ちがわるい。(これに比べてVueのTemplateはまごうことなきHTMLの拡張)
2.コンポーネントで操作できる変数(State)を使うためにはコンポーネントをClass表記してsetState()という関数を使って管理しなければならない。
というもの。
その後 「JSXは単なるJavaScriptの関数表現」という開発チームの解説をYoutubeでみて ストンと納得できるものがあったものの、 二つ目のJavaScriptにClassが必要というのがなんとも納得いかない(個人の意見です)身としては今いち手が出せずにいた。 Class表記をするあまり、 thisの多用を行い、しかもそのContextを明示するためにClass Constructorに this.function=this.function.bind(this) を書きまくるというのがなんとも切ない。
しかしながら、 Reactの勢いは侮りがたいものがある。 特にMicrosoftのOffice開発系の方たちは Office UI GraphicsのComponentに「Reactは正義!」という感じで使いまくっている。 SharePoinitの JavaScript Frame workも Reactびいきがすごい。
で、最近React-client-appというCLIでReactのScaffoldingが簡単にできます、という記事をよく見るので、実際どれくらい簡単なんだいと試してみたら、 生成されるScaffoldingのComponentがClass表記ではなくfunction表記になっている。 あれ、これって、Stateful Componentは Class表記しなければいけないんじゃなかったっけ、と思ったが、 実はReactも進化していた。
Version 16.8から Hooksという機能が追加されて Functional ComponentでもStateの管理ができるようになっていた。 そして今まで、 Functional Component = Stateless Component, Class Componnet=Stateful Componentとなっていたものが、 どちらを使ってもよいようになっている。 Reactのサイトにも将来の開発にはFunctional Componentを使うのがおすすめと書いてある。 なので、React-client-appもDefaultで生成するコードはクラスレスになっていたわけだ。
紹介ページ https://reactjs.org/docs/hooks-intro.html にあるコードをみれば一目瞭然だが、クラス表記のようなConstructorもなければ、this. でメンバー指定をすることもない。 非常に簡単。 ただ、このHookを使ったクラスレスのステートフルコンポーネントの作り方、オフィシャルサイト以外で解説しているサイトはまだ少ない。
この
const [ var1, setVar1]=useState('this is variable one');
で気をつけなければいけないのは Var1が複数メンバーから構成されるオブジェクトだった場合、
const [obj1,setObj1]=useState({member1:"this is member 1", member2:"this is member 2"})
のように Obj1を宣言したときに、
setObj1({member2:"this is member 2 modified"})
とやってもsetState()と違って、オブジェクトの他のメンバー(Key)とマージしてくれない。上の例ではmember1が消えてしまう。
セット関数には元のstateがパラメータとして渡されているのを利用して、
setObj1(s=>({ ...s, member2:"this is member 2 modified"}))
とスプレッド表記を使ってマージしてあげる必要がある。(上のサイトにはObject.createを使うのも可と書いてある)
また、いわゆる ComponentWillMountなどのLife Cycle hookの代わりには描画毎に発火するuseEffect()を使えと書いてある。 このHookは発火を限定するために二つ目のパラメータ―で発火する条件を指定できる。 ファイルデータを読み込むなど、あるいはイベントリスナーを設定するなど、一回だけ発火させたい場合、 このパラメーターを空のアレイで渡してあげることで実現できる。(なんとなくハックっぽいが)
useEffect(()=>{Data を読み込む云々}, [])
他にも何種類かのHooksが用意されているが、 演習用にアプリを書いてみると、上の二つのHookだけで、それなりのものができる。
すでにJSXへのアレルギーはなくなっているので、クラスを使わなくてよいReactという選択は結構魅力的です。
すべてにVue.jsを使いたいのはやまやまなれど、SharePoint関連においてMicroSoft が Reactありきの開発を推しているというのはやはり大きい。