HP33Sを購入してしまった。 税込みで$50ドル。 Wallmartて計算機売り場を覗いたらTIの電卓の中に埋もれるようにして33Sと10Bという2種類のHPの電卓が陳列してあった。ブリスターパックの上からキーを押してみたが、10Bのほうがコリコリ感が良い。だが、裏の説明文を見て驚いた。「誰にでも使えるARGEBRAIC」となっていて、RPN機ではない。 33Sの方はRPNとArgebraicが切り替えられるようになっている。しかし、この銀色のボディー、そしてなぜかVシェープのキー配列、大分イメージが違う。ぱっと見た感じPowerRangerに登場する悪役みたいだ。 一度は帰りかけたが、結局また売り場に戻ってきて買ってしまった。 完全に衝動買い。
で、いじってみたのだが、、
持った感じはなかなか手になじむデザインだ。サイドがゴム引き仕様になっているし、キーの感覚も許せる範囲。
表示はコントラスト比が調整できるLCDだが、小数点が見にくいのには参った。 それでなくても老眼になりかけているのだから。22.22などと表示すると小数点の位置がほとんどわからなくなる。裏を見ると計算機自体はしっかり中国製だが、LCDの表示デザインをきちんとDRしたのだろうか。 これをよしとしたアプリケーションエンジニアをHPの人間として認めるわけにはいかない。ドットマトリクスベースでもこれまでの資産があるのだからどうにでもなったはず。
キーボード+シフトキー2つで、機能を各キーに割り振ってあるが、レイアウトの思想が良くわからない。 それにEnterの位置を通常の計算機の=の位置に持ってきたのはどんなもんだろうか。 10キーパッドの一部として考えればロジカルではあるけれど、いまやRPN機を買うのはほとんど買い換えの客だろうから従来どおり左上に大きめのキーとして設定したほうが良かったのではないだろうか。 あの大きなキーはどんなに押しても壊れない(だろう}という安心感があった。
コンバージョンをメニューに埋め込まないでキーにアサインしてあるのは実用的。 これだけラベルを表示しなければならないので、シェブロンになったキー配置が少しは役にたっているのかなあ。(印刷できる面積が若干大きくなったりして)
インターネットでレビューを眺めて見たが、ユーザーの批判の中で「スタックが4つしかない。」というのがあった。 HP28C以降のRPL機の仕様を当たり前と考えている世代にはHP伝統の4スタック構成が非力に見えるらしい。
COS(パイ/2)がゼロにならない、これはバグだ、というコメントもあった。 確かにシンボリック演算ができる48Gみたいな機種だときちんとゼロになるが、これも実際には12桁の数字で計算するので仕方がないところだとおもいますがね。48Gでも数字になおすとゼロにはなりませんし。 なぜ昔はこんな批判がなかったかというと、ラジアンの計算ができなかったからだね。
プログラムはステップごとに書き込んでいくというもので、RPLに慣れたものにとっては昔の時代にワープしていく感じ。 Object Pascalになれていたのが、急にライン番号の必要なBasicに戻ったような雰囲気ですね、それはそれで楽しいのだが、 プログラムを組むような計算はいまやパソコンでやってしまうのが大勢なんだろうなあ。
自分としてはエンジニアリング計算はいまや過去の話で、コストと工場原価の計算とか部下の昇給率の計算にしか使わないわけで、HP12Cあたりが一番使いやすい計算機、というのが本音ではあるけれど、気持ちとしてFinance Calculator よりはScientific Calculatorを持っていたい。 ちょっとシャツポケットに入れるにはでかすぎるがこれ以上小さくなるとラベルが読めなくなってしまう。(笑)